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■ 2009年4月27日〜5月3日
 いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。
 音声パソコンを入手した当時、ただのスケジュール表だったものが、いつか毎日の記録となっていました。筋力運動、万歩計、透析データに食事の記録。健康維持のためにも大切なこの習慣も始めてからもう20年になりました。
 けれども、世間の皆様がされているようなブログとは違い、わざわざ読んでいただけるものではありませんでした。ただ、2007年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、季節や出来事のヘッドラインになるので、ここに紹介させていただいてきました。
 毎日の出来事。去来する思い。本当はひとつひとつ、丁寧な記事に仕上げたいのですが、イカサマ俳句にマヤカシ川柳。これら十七文字や日記の切れ端で、人工透析という医術に命をもらいながら生きる、ひとりの中途失明者の毎日を知ってもらうのが願いです。
 夏目漱石や永井荷風ならいざ知らず、ボクの日記なんぞ死んでみたって永久に披露されるチャンスなんて訪れるわけもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の出来事や思いを粉砕して、かけらを集め編集して、恥ずかしくも掲載を続けています。
 さて、近頃ここいら最近の1週間。出来事あれこれ、思いはいろいろ。どうか、よろしくお付き合いください。
エム ナマエ


0427・月・
 コボちゃんが起きてくるのを待って散歩に出る。天気はいいが、なんとなく肌寒い。途中、アルルと盲導犬ごっこ。いつもの散歩コース。豪徳寺の花壇でコボちゃんがアゲハを目撃。嘘か本当か、耳を疑う。風は冷たいが、日差しはアルルの頭を暖めている。ネコ型ベンチに白いペンキは似合わないと思った。あれは地塗りで、これからステキになるのだと思いたい。
 柳家一琴師匠に電話。メルマガが配信されてこないのだ。すると、本人はすっかり手配を忘れていた。210回目にして初めてのシッパイ。すぐにメルマガは送られてきた。
 熊本の山部京子さんよりのファックスによると、産院廃止撤回の署名活動はステキにスタートしているらしい。
 透析中、ひさびさ、青木裕子副所長のおもしろ研究所を聴く。最年少気象予報士13歳が出演していておかしい。大人顔負けの受け答えなのだ。
 ブタインフルエンザが気になる。病院側も早速の反応。説明されたことは、以前から決まっていたトリインフルエンザパンデミック対策のマニュアル。これからおそらく、病院玄関には、新型インフルエンザの患者は大病院の発熱外来にいってくれと貼り出されるのだろう。透析患者については、タミフルや防護マスクなどの準備があるらしい。コボちゃんも看護士復帰をしたので、医療現場の危機管理は家庭内の問題でもある。
 帰宅して国際ジャーナリストの及川健二氏と長電話。元気で安心する。最近の彼はラジオにいやされているとか。近々、宮台真司先生と三人で会えたらいいね、ということになるが、多忙を極める先生との面会は難しいかもしれない。
 コボちゃんの買ってきてくれた富山県産のホタルイカをつまみながら、WHOの緊急会議の結果に耳を傾けるが、結論は簡単には出てこない。それもそうだろう。もしもパンデミックであるならば、世界経済はますます落ち込んでしまうのだ。そうそう、WHOといえば、麹町中学と慶應義塾志木高校で同じクラスだった川口雄二はどうしていることか。組織内でも、ずいぶん偉くなったと聞いてはいるが。
▲ 手を置けば寄り添うイヌの暖かさ
▲ いく春やクロアゲハ舞う夢ひとつ

0428・火・
 朝いちばんのニュースはWHOが新型インフルエンザのphase4を発表。パンデミックによるパニックが心配される。マスコミに出ている麻生太郎やデシャバリマスゾエ厚労大臣がはしゃいで見えるのはボクのヘソが曲がっているせいだろうか。上の方で大騒ぎしようとも、我々は冷静でいる他に方向がない。
 たまっているメールに返信。キーボードにひっかかるので、丁寧に爪を切る。座業だから体が温まらない。寒いので、少し暖房を入れた。
 詩人の矢崎節夫さんに電話。先日のラジオでの講演に感動したことを伝える。懐かしく会話。失明当時、ボクは矢崎さんから金子みすずの作品を紹介されたことをありがたく思っている。まだ、発掘されたばかり、それほど存在の知られていなかった時代の話である。矢崎さんは現在、みすず記念館の館長に就任している。
 夜、帰宅したコボちゃんとアルルを連れて散歩に出る。豪徳寺へ。アルルを待たせてモスで軽い食事。それで満腹。野球は巨人軍の完封連敗。FM-J-WAVEでウェザーレポートがかかっていたので、彼等のCDをかけてから、途中になっていた絵の仕事を続ける。
▲ 窓辺にて緑の風に爪を切る

0429・水・昭和の日・
 外は日差しが熱いくらい。連休のせいか、電車のホームに駅員が見られる。銀座へは地下鉄銀座線で一直線。空腹で慌てて三越の食堂へ入ったのが失敗。メニューが貧弱。ピラフが食べたかったのに、うなだれて焼きそばを食べる。50年前のデパートのレトロな大食堂の雰囲気そのままで、三越はもう少し考えた方がいい。とても銀座にいるとは思えなかった。歩行者天国を歩く。周囲から聞こえてくるのは外国語だったり関西弁だったり、ときどきワンちゃんが吠えたりで、新型インフルエンザもなんのその。銀座は人々の花盛り。伊東屋でボールペンを購入。ペリカンのボールペンを選んだ。手触りが女の子にいいと感じたのだ。コボちゃんは木村屋でアンパンを買い、それから我が家へ一直線。汗をかきかき着替えをする。
 休日透析。入室は15時半ぎりぎりだった。TBSラジオでは、小島慶子アナウンサーがやなせ先生のアンパンマンの歌詞に感動していた。そうだ。やなせ先生の哲学は過酷な戦争体験から生まれた命への讃歌なのだ。面白いことに、巨人軍は3連続完封負け。これはワースト記録に並ぶらしい。一方、仙台イーグルスは田中マーくんの4連続完投勝利で野村監督に1500勝をプレゼント。さすがの野村監督もウルウルしていたように聞こえた。ニュースは新型インフルエンザ関連が中心。ほぼパンデニック状態だが、毒性が協力でないことだけが救い。メキシコ国内での死者多数なのは経済問題が関わっているらしい。いつも貧富の差が悲劇を作り出している。国内では最近、児童が被害者になる事件が多発しているような気がしてならない。これは必ずしも貧困が原因とはなっていない。人間が人間でなくなる瞬間のあることが辛く悲しい。
 アリーナドッグスクールのワンちゃん合宿の日程が決まる。早速申し込む。今度は人間も参加するのだ。
 TBSラジオ「アクセス」出演の医療ジャーナリストはミスキャスト。この人、元厚生労働省の役人だったせいか、上から目線の発言が気になった。こういう発言者が国家にパンデミックではなくて、パニックを発生させるのだ。と書くのは少し気の毒かもしれない。現在は情報が錯綜して、何が真実か分からない。
▲ 天国は御国言葉の花盛り

0430・木・
 WHOが新型インフルエンザのphase5を宣言。
 作品の下絵をかく。たちまち時間が経過する。けれども、鉛筆と紙の相性が悪く、思ったような線が生まれない。仕事のBGMは古今亭志ん朝の落語。
終日、新型インフルエンザの話題。けれども、弱毒性であることが判明して、ボクはそれほど心配していない。恐ろしいのはブタではなく、トリインフルエンザなのだ。ブタの印象が悪くなって、養豚行や食肉業者が苦労するのではなかろうか。マスコミは風評被害を出さないためにも言葉を選ばなくてはならない。海外からの帰国者から感染を疑われる人々が出てきた。国内で感染者が見つかるのも近いだろう。
▲ 恐れるなブタはトリほど強くない

◆5月・
0501・金・
 顔も洗わずに朝の散歩へ。5月になったから、という理由ではもちろんないが、五月晴れ。途中から世田谷線の踏み切りまでアルルとふたりで歩く。暑いせいか、アルルはよけいなことはしない。匂いもとらず、まっすぐ歩く。いつもの花壇でコーヒー。足元のアルルはまるで盲導犬。親ばかコボちゃんはそういって喜んでいる。帰り道、保育の仕事をされている方から声をかけられる。ボクをよくご存知らしい。顔を洗っていなかったことが悔やまれる。やはり、洗顔と髭剃りだけはさぼってはいけない。いろいろなワンちゃんたちと挨拶。いい声で季節の小鳥が鳴いていた。
 コーヒータイム。朝のゆうゆうワイドに見城美栄子さんが出演していたので、番組にメールする。キンキン・ケンケン時代の懐かしい録音に思わず胸が熱くなる。
大峽先生から竹の子と蕨、わさび漬けが届く。手紙が入っていて、現在企画中のNPO法人の説明を読む。この組織のための新しいキャラクターを依頼されているのだ。矢崎節夫さんから、ご著書とテープが届く。
 作品の下絵をかくが、コボちゃんからOKが出ず、なかなかうまくいかない。
 本日は透析変更で病院へはいかない。けれども、コボちゃんはボクが透析の日だとばかり思っていたので、会話がかみ合わなくて、おかしい。
 届いたばかりの竹の子でコボちゃんが竹の子御飯を作ってくれて、満腹。デイキャッチの宮台先生を聴く。
 ラジオはどこもファイターズとライオンズの野球中継。延長戦のおかげで上方演芸会もなく、ずっと志ん朝の落語をBGMに下絵を続ける。野球が終わってから、やっとニュース。それほどやっきになって、最後まで野球中継を続ける意味がどこにあるのだろうか。民放もNHKも、もっと適当にやって欲しい。
 世界中が新しいウィルスに振り回されている。けれども、人類は常にウィルスたちと遺伝子レベルで条約締結をしながら、ここまで生きながらえてきたのである。
▲ 五月晴れ犬の首輪でベルが鳴る

◇ 東海道五十三次 小田原到着
おめでとうございます。小田原を通過しました。
次は箱根。あと27,445歩です。

0502・土・
 世間では情報が錯綜している。米国では新型インフルエンザによる肺炎で死者が出ているという。これはメキシコ国内でも起きていたこと。すると、弱毒性でも充分に危険であるということ。おまけに、スペイン風邪も弱毒性であったという話を聞く。おいおい、ラジオ。無責任な発言はしていないだろうな。けれども、たちまち不安になる。やはり、ボクら透析患者のように感染確立の高い立場にある者は、タミフルで予防策を講ずる必要があるのかもしれない。おりしも、TBSテレビのズバットレポートでは、下村健一氏が成田へ飛んで、メキシコからの直行便到着をレポートしていた。テレビ音声から下村健一氏の誠実な語りが聞こえてくると安心するのだが、彼もウィルスに振り回されている立場であることには違いがない。
 コボちゃんは出勤。土曜ワイドをBGMにニコニコキッチン弁当。永六舗さん、もっとゆっくりしゃべって欲しい。嫌がらず、怖がらず、歯医者へいけば、あのしゃべりもなんとかなると思うのだが。
 大峽健一先生の新しい障害者支援施設のためのキャラクターを考える。5月中の申請だから、なんとか間に合わせたい。
 午後2時半、別府さんに病院へ連れていってもらう。3時より変更透析。いつもとベッドが違うので、ラジオの電波が悪かったが、パカパカ行進曲だけは楽しんだ。FMの電波も悪いので、仕方なくテレビ音声を聴くが、相変わらず大衆を小馬鹿にした構成。そんな中でも、NHKだけは、しっかりとした番組作りをしているのは、時間と制作費に余裕があるからだろう。時間潰しにまるで縁のない釣り番組に耳を傾けた。世間は広い。面白いと思えれば、面白いことばかり。お金と時間がいくらあっても足りない。
 帰り道、あちらこちらのスーパーに立ち寄るが、どこも惣菜は売り切れ。やはり連休なのだ。世田谷の道路にも、やたらとクルマが走り回っている。駐車場でコボちゃんの買い物を待っている間、ボクは志らくの俳句談義を聴いていた。この人は典型的な前頭葉型人間だが、その語りには独特の説得力があって、一琴師匠が彼から俳句の指導を受けているのも納得できる。
 帰宅して「ラジオ文芸館」の河童の物語をBGMに赤ワインとフライドチキン。物語も語りも効果音もよかった。コボちゃんはテーブルで居眠り。勤務の疲れだろう。ラジオの交通情報は渋滞ばかり。国内の高速道路が渋滞することを、日本では大型連休というらしい。
▲ 千円で道の形の駐車場

0503・日・憲法記念日・
 時代を作ったロックスターが本当の星になってしまった。1972年、エレックレコード主催のコンサート楽屋で、ボクはこの人たちとビートルズごっこをして遊んでもらったことがあるのだ。そして、音楽友達の生田敬太郎はある時期、RCのメンバーでもあった。ご冥福を祈る。
 昼寝をしていたら、不思議の彼女に会う。ボクのアニマだ。彼女はいつも同じ目をしてボクを見つめる。そして、初めてなのに、初めてではない気持ちに襲われるのである。何も知らなくて、何でも知っている不思議な人。夢の世界でしか会えないのが残念でもあるし、安心でもある。
 目ざめてからずっと作品制作。下絵を仕上げる。コボちゃんからOKはもらったが、大きい方の絵はもう一度トライするつもり。
 早起きをするため、簡単な食事とビールで早寝をする。明日のためにエネルギーを温存した一日となる。
▲ 地上から皐月の空へ流れ星


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